第63章 ●身体に刻まれている快感
「……別に泣くのは構わない……
だが、この行為が辛い、
ということではないんだよな?」
心配そうな声の発信源は動きを止め、
刺してくるような快感が
身体からスッと抜けていく。
「当たり前、でしょ……!
辛かったら、最初から、しない……から!」
ただただ呼吸が苦しい。
それでも抜け出した快感を取り戻したくて、
気が付けば、自分から腰を振っていた。
……もう、この快感を
手放すことが出来そうにない。
「……すまない。弱気な発言、だったな。」
「いいよ……心配、ありがと……」
必要最小限の言葉しか
発することは出来ないが、
エルヴィンは穏やかな表情に戻り、
すぐに恍惚とした時間は甦った。