第60章 詰問、詰問、からの証拠
凛の予想している通り、
団長室ではナイルへの詰問が行われていた。
「俺が調査に行っている間に、
凛を手伝いに来させるとは
なかなか大胆な真似をしてくれたものだね。」
「……ああ、お蔭で助かった。」
「そうか。それなら良かった。」
今エルヴィンと目を合わせたら
笑顔で睨み殺される。
ナイルはもう装い切れない平静を
その場に捨てた。
「いや、すまなかったな。
こっちも忙しくて人手が欲しくてだな、」
「一体何が目的だ?
嫁も子どももいる身分で、凛まで」
「待て!違う!本当に!」
「……仕方ないから少しだけ
お前の言い訳に付き合ってやろう。」
エルヴィンは椅子に座り直すと、
深くもたれ掛った。
「今回は本当に仕事を手伝って欲しかった、
それだけだ。
あいつが優秀なことは会議で分かっていたしな。
それに、手伝ってもらって確信した。
確かに凛は手放したくなくなる人材だ。」
「だから何だ。
憲兵団に引き抜かせろとでも言うのか?」
「おい、今お前は俺の話を
聞く番じゃなかったのか?」
「そんなことは言ってない。
いい訳は聞いてやるが口は挿む。」
理不尽な、と開きかけた口は
エルヴィンの辛辣な表情を見て、
一旦閉じた。