第59章 もしもその時が来たとしたら
「いや、こんな話をしようと思って
ここに来たんじゃなくて。
ジャンのことで話があったんだ。」
「ジャン?」
「今朝買い出しで街に出た時、
偶然ジャンに会って。
凛の休暇日を確認された。」
「ああ、そう言えばあの時教えた気がする。」
エレンたちと食事をした時、
店を出る直前に予定を聞かれたんだった。
最近バタバタしていたせいで、
つい忘れかけていた。
よくよく考えてみれば、
もうその日が一週間後に迫っていた。
「基地の前まで迎えに行くって言ってたけど、
……本当に行くのか?」
「うん。約束したしね。」
「俺は今、あまりジャンが
信用出来てないんだけど。」
「……何で?」
「凛、ジャンと何かあっただろう?」
「何かって……」
「例えば、強姦紛いのことをされたとか。」
そうではない、が、
それに近いものはあったと思ってしまい、
ほんの一瞬、間が空いた。