第53章 誘惑の仕方
「……基地の敷地に、
こんな離れがあったとは。」
「前の団長の趣味だ。
相当風呂が好きだったらしい。」
「なるほど。
確かにここの兵団基地って
肩まで浸かれる湯船はないもんね。」
リヴァイに連れて来られたのは、
基地とは少し離れにある、
兵団基地にはないと思っていた
湯船のある浴室だった。
基地の中にも風呂はあるが、
簡易的に身体を拭くスペースか、
戸棚風呂のような、腰から下だけしか
お湯に浸かることのできない場所しか
なかったので、驚いた。
「ここじゃないと、
なかなか手伝ってもらいにくいだろ。」
「……え、まさか手伝いって」
「風呂に入るのを手伝え。」
やっぱりそうきましたか……
と、心の中で思いつつ、
早々に服を脱ぎ始めるリヴァイを
取り敢えず制止する。