第52章 自由な選択を
「取り敢えず、
今は誰が優勢って訳でもないのか。」
「……そうなります。」
「それはいつになったら
一人に絞れるもんなんだ?」
リヴァイからの自分にとっては悩ましい問いに、
思わず小さく唸り声を発する。
「どうだろう……
それぞれ魅力が違うし、接し方も違うし、
色んなタイミングもあるし……
いつ、って言われると難しい……」
曖昧な表情を浮かべるリヴァイを横目に、
話を続ける。
「でも、私もさすがにずっとこのまま
って訳にはいかないし。
それに、多分“これだ!”って瞬間は
来ると思う。」
「……決定的な瞬間、か。」
「今のところ、それが誰といる時に来ても
おかしくないってことだな。」
「……そうなんだろうね。」
「何だか曖昧な答え方だなぁ。」
エルヴィンは気が抜けたような声を出し、
ソファーに深くもたれ込んだ。
「ごめんね。私がこんな感じだから、
振り回してばっかりで。」
「今に始まったことでもねぇけどな。」
微笑を溢すリヴァイを横目に、
……この世界に魅力的な人が多すぎるのにも
問題があるよ。
と、心の中で呟いた。