第45章 ●潤いの要因
「……本当?
まだ満足はしてないでしょ?」
「いや。想像以上に満たされてるから、
自分でも驚いてる。」
「……そっか。役に立てて良かった。」
部屋に入って来た時の厳しい表情が
思い出せなくなるくらい、
今のリヴァイの顔は穏やかだった。
その顔を見て、
不意にリヴァイの胸に強く顔を押し付ける。
「……どうした。」
「なんか、安心して。リヴァイ、おかえり。」
何故このタイミングなのだろう。
突然目頭が熱くなってきて、
込み上げてくる感情を飲み込む。
「凛。
お前がここで待っていると思ったから、
今回はいつもより鋭敏に戦えた気がする。
……ありがとう。」
私には勿体なさすぎる言葉だ。
飲み込んだはずの感情は、
心の奥からまたふつふつと湧きだして来て
それに抗うことも出来ぬまま、
リヴァイの胸を濡らした。