第7章 自分にできることを
調査兵団基地で働き始めて二週間。
最初は勝手の分からなかった来訪者への接待や
資料整理、会議の書類作成にもだいぶ慣れ、
それと同時に、
少しずつ兵団の実情を把握してきていた。
巨人を恐れず壁外への進出を試みる調査兵団に、
希望と共に人材と資金が集中している時期は
多くある。
……だが、その状態にも波があった。
壁外調査へ出る前は、
市民から強い希望の眼差しを向けられているが
事実、派兵には三割を超す損害を伴い、
調査から帰って来た際は、
エルヴィンがいつだったか言っていたように、
市民から石を投げられることも
少なくないようだ。
この兵団は人類の希望も絶望も背負っている。
だからこそ、市民や他の兵団からの
厳しい視線が突き刺さる。
研修がてら憲兵団・駐屯兵団と
合同の会議を見学させてもらった際は、
遠巻きに見ていただけでも
調査兵団への当たりが強いことが、
ひしひしと感じられた。