第39章 再会の意味
「敬語。モブリット、
私にずっと敬語でしょ?
モブリットの方が先輩なはずなのに、
おかしくない?」
「……ですかね……」
あまり気にしたことがなかった。
と言うのも、凛さんは団長や兵長と
いつも対等に話しているし、
この間なんて憲兵団の師団長まで
「ナイル」と、呼び捨てにしているところを
目撃してしまった。
そのせいか、自然と自分の上司と
同じ目で見ていたのかも知れない。
「モブリット、敬語止めてよ。」
「……いきなりですね。」
こっちが抵抗の意を示しても、
「あと、凛さんじゃなく、
そこも呼び捨てで。」
と、凛さんは更に要求を重ねてくる。
そんなところが凛さんらしくもあり、
思わず頬が緩んだ。
「ね。一回呼んでみて。」
どこか嬉しそうに言う
凛さんの無邪気な表情に、
一瞬目を奪われる。
時たま見せるこの可愛らしい顔に
心音は心なしか速くなった。