第36章 熱の行方
しばらくして身体を離すと、
凛の不安げな視線とぶつかる。
こんな顔をさせてしまって申し訳ないのに
それでもそんな顔ですら色気を感じ、
もはや凛が何をしても
自分のものが反応することは
避けられそうになかった。
「……あまりに勝手すぎて嫌気がさした?」
「いや。」
「……ごめんね。」
「嫌気なんてさしてないよ。
……謝らなくてはいけないのも、
自分勝手なのも、俺の方だ。」
エルヴィンは自分の視線から
逃げようとする凛に、
そっと唇を重ねた。
こうして柔らかい感触を
楽しむようにキスをするだけで、
物凄い幸福感に包まれる。
今までの自分が
自然に拒否していたものは、
凛と出会ってからいつの間にか
手に入れたいものに変わっていた。