第35章 それぞれの行く末
「俺からも頼む。
凛、エルヴィンの部屋に戻れ。」
「もう調査前日だけど……
追い返されないかな?」
「大丈夫だろう。
あいつも今は
悶々としている頃だろうしな。」
ミケはそう言って片頬に笑みを浮かべた後、
凛にそっと顔を近付け、
「だがもし追い返されたら、
俺の部屋に来ればいい。
俺はお前を追い返すようなことはしない。」
と、耳元で囁くように呟き、
例の如く一瞬で
赤面した凛を見て笑う。
「……ちょっと、
私からかって遊びすぎじゃない?」
「お前は面白いから、
ついからかいたくなるんだ。」
失礼な、と言おうとしたところで
「だが、これは嘘でも冗談でもない。
いつでも俺の部屋に来たらいい。
手厚くもてなすよ。」
そう言って優しい表情を向けられ、
言い返すことも出来ず、
軽く頷いてからエルヴィンの部屋へ
踵を返した。