第35章 それぞれの行く末
「……凛。
お前、今のままでいいのか?」
部屋を出て、廊下を歩いていると
隣に並んだミケにそう声を掛けられる。
何のことを言っているのかはすぐ分かった。
「……よくない。」
「だろうな。」
ミケがフッと息を漏らすと、
長い前髪はそっとなびく。
「俺も今のままでいいとは思っていない。
エルヴィンはお前のお陰で
せっかくきっかけを掴みかけたんだ。
これを逃す手はない。」
……きっかけ?
心当たりのない言葉に頭の中に
疑問符が飛び交うが、ミケの表情は
何か確信を得たものの様に見えた。