第30章 女慣れした新たな仲間
「びっくりしましたか?」
「……うん。
あれ、ペトラは大丈夫なの?」
「うーん、大丈夫ではないでしょうね。
あれだけやられてたら。」
「え、それっていいの?」
「まぁそれが訓練ですから……あ、
これまずいな。」
突然“素の声”と分かるような
声色で話すエルドを横目に、
反射的にその場に屈んだ。
「……良い判断ですが、
多分それだけじゃもう回避不可です。」
エルドがそう言い切る前に、
首元に腕を回され、思わず尻餅をつく。
と同時に
爽やかなシトラス系の香りが鼻先を掠め、
自分が抱き着かれているような状態に
なっている事を察した。
「すみません。
俺はあんまり女性相手に
対人格闘しないんですけど……」
「……リヴァイ兵長、こっちに気付いた?」
「………多分。」
エルドの“多分”は“絶対”に近い言い方だった。