第29章 依存
「凛。」
何とはなしに呼び止めると、
凛の結われていない無造作な髪が風になびき、
肩で揺れた。
「ミケ、なに?」
二人から離れてわざわざこちらに
歩み寄って来た凛の手を掴むと、
凛より先に二人が反応する。
思わず頬が緩む。
「……凛。また部屋に来い。
次は二人きりで、もっと楽しい遊びをしよう。」
身を屈め、凛の耳元でそう囁くと、
一気に紅潮した頬が目に留まり、
無意識に笑みが漏れた。
「……色々誤解しそうな言い方は
やめてくれる?」
凛はそれだけ言うと、
赤く染まった頬のまま二人の元へ戻り、
リヴァイに乱暴に顎を掴まれていた。
その様子を見ながら、
今日は口角の上がる出来事が多い、
と心が緩むのを感じる。
「誤解?どうだろうな。」
ミケがそっとそう呟いたのを聞いたのは
モブリットだけで、
またしても余計なことを知ってしまった……
と、憂悶する羽目になったのは言うまでもない。