第28章 互いの要件
「……そうだな。
彼女にはそんなことをさせるつもりはない。」
「それは凛に対して
特別な感情があるからか?」
ナイルの問いにエルヴィンは
一瞬目を見開くが、
「特別な感情なら、
お前にだってリヴァイにだって持っているよ。」
と、すぐに緩んだ表情を向ける。
「そんなことは聞いてねぇよ。
“特別”の意味が違うだろうが。」
冗談ではぐらかされて堪るかと、
ナイルは表情を引き締めた。
「お前は凛に惚れてんのか?
って聞いてんだよ。」
ナイルの単刀直入な問いに、
エルヴィンはナイルを見入ったまま沈黙した。