第26章 本当の望み
「ナイル師団長、痛い所突きますよね……」
「一応“師団長”だからな。」
冗談めかした口調で言ってみると、
凛の頬が少し緩む。
……やっぱり笑った顔はかなり好みだ。
「取り敢えず、この取引は白紙に戻す。
いいな?」
「……はい。」
一気に落ち込んだ表情になった凛を見ると、
思わずため息が漏れた。
「……そんな顔をするな。
身体と引き換えに、っていう取引を
白紙に戻すだけで資金援助の話を
白紙に戻す訳じゃねぇ。」
「………え?」
「資金、欲しいんだろ?
それなりの理由もあるんだろ?
なら今からお前が効果的に俺を説得して
納得させてみろ。
俺を腹落ちさせることができたら、
資金援助してやるよ。」