第24章 売り言葉に買い言葉
「お前、あの資料は一人で作成したのか?」
「……はい。」
「調査兵団に入る前は何をやってたんだ。」
「……特に何もしていません。」
「あ?無職だったってことか?」
「そんな感じですかね……」
正直に答えられる質問が少なすぎる。
怪訝そうな師団長の顔を見ながら、
思わず軽く頭を掻いた。
「俺の質問に答える気がねぇのか?」
「ありますよ。
ただ、自分のことを話すのが
そんなに得意じゃないんです。」
取り敢えず笑顔を向けてみるが、
作り笑顔だということがバレているのか、
師団長の表情は険しいままだ。