第16章 ●悪趣味の嫉妬
……自分の部屋で凛を抱いて、
この声をエルヴィンに聞かせてやれば良かった。
そんなことを思う俺は、相当悪趣味だろう。
だが、そう思わずにはいられなくなる
原因を作ったのはエルヴィンだ。
きっとあいつも、俺に凛の喘ぎ声を
聞かせてもいいと思いながら行為に及び、
壁を通して聞こえるくらいの声を
凛に上げさせるような
愛撫をしたんだろう。
あの時の凛の声を思い出すと、
今でさえ悶々とした気持ちが込み上げる。
この気持ちを抑えるためには、
凛を“あの時の声”以上の声で
喘がせる必要があるな……
そう思った途端、自分の脳内の制御作用が
まるで機能しなくなった。