第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
「……え、………えぇ?!」
雑誌の表紙を見た瞬間、自分でも驚くくらいの突飛な声が部屋に響く。
だが、そんなことを気にしている余裕はない。
「ま、待って…これ、エルヴィン?」
「ああ。」
「……雑誌の表紙にいるよ?」
「そうだね。モデルをしているから。」
あまりにも平常通りに話すエルヴィンと、雑誌の表紙で優しく微笑むエルヴィンを、思わず横に並べて見比べた。
「いやー、私も驚いたよ!
まさかエルヴィンがこんな人気モデルになってたなんてね!」
ハンジは笑いながらエルヴィンの肩をバシバシと叩く。
「この“如何にも白人”な顔は、なかなかウケがいいみたいでね。
だが、日本でここまで人気者になれるとは、俺も思ってなかったよ。」
「……何で気付かなかったんだろう……」
床に広げられた三冊の雑誌を手に取る。
エルヴィンの写真は、表紙だけに止まらない。
パラパラとページを捲ると、魅力的としか言いようがないエルヴィンの姿を至る所に発見し、その都度手を止めて、その姿を食い入るように見つめた。
「凛。本人を目の前にして、そんなに雑誌に夢中になるな。」
「……あ、ご…ごめん。」
思わず見惚れてしまうほどに美しい写真を、真剣に見入ってしまっていた。
小さく笑みを溢すエルヴィンは、雑誌を閉じてハンジに手渡し、まだ何か言いたそうにしているハンジの背中を押して、部屋から追い出した。