第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
「普通にサラリーマンをしてみたり、自分で会社を立ち上げたり、フリーのライターやカメラマンをしてみたり。」
「え、すごい……」
呆気にとられた声が出ると、エルヴィンはふふっと息を漏らして笑う。
「……なに?」
「立ち上げた会社は後輩に任せて、今は別の仕事をしているんだが……やはり君は知らないか。」
「ん?どういうこと?」
「凛。君はこの三年間、相当忙しく過ごしていたようだね。」
「……そうだけど……それ、エルヴィンの今の仕事と関係してるの?」
「君がテレビや雑誌を見る機会があれば、君と俺はもっと早く出会えていたかも知れない、ということだな。」
頭の上に疑問符が飛び交う。
確かに仕事で忙しくてテレビも雑誌も殆ど見ていない。
最近のニュースなんかにもかなり疎い。
……まさか、エルヴィンはニュースに出るようなことをしでかしてる?
ハッと顔を上げてエルヴィンに視線を向けた時、勢いよくふすまが開いた。
「エルヴィン!見つけたよ!!」
「……ハンジ。
急に開けるのはやめてくれ。
もしキスでもしている最中だったらどうするつもりだ?」
「終わるまで待つから大丈夫。」
満面の笑みを浮かべたままで、ズカズカと部屋の中に入って来たハンジは、雑誌を二、三冊コンビニの袋から取り出した。