第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
……この沈黙は“事が済んだ証拠”と、捉えるべきか……
エルヴィンは、凛とリヴァイのいる部屋のふすまの前で立ったまま、甘いままでいきなり静かになった空気を肌で感じていた。
さすがにこの短い制限時間内で、最後までしてしまおうなんて考えには至らないだろうが、リヴァイのことだ。
キスくらいはするだろう。
凛もこの三年間、相当人肌恋しかった筈だから、
「キスはしない」
なんてことをミケに宣言していたとしても、そんな理性は簡単に吹き飛ばされることなんて想像に易しい。
今このふすまを開ければ、“現場”を目撃することになるかもしれないな……
漂い続ける沈黙を見守りつつ、意外と冷静にこんなことを考えている自分を意外に思う。
これは三年前、自分が凛と最後に一番長く過ごしたことからの、少しの余裕なのだろうか。
だが、凛にとって三年振りに最初にキスをする相手がリヴァイになるのか……
そう考えると、やはり胸の奥がチリチリと焦げるような感情に囚われた。
そんなことを考えていた矢先、ゆっくりとふすまが開き、正面にリヴァイが現れる。
ふすまと距離を置かず立っていたせいで、いきなりかなりの至近距離に迫ったリヴァイの瞳は、驚きを隠しきれない揺らぎを見せた。