第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
「実はね、ミケとはお祭りに行く直前に再会してて。」
「え?」
ハンジのまさかの発言に、呆気にとられた声が零れる。
「でもその時はまだ私、記憶戻ってなかったし。
ただの凛の付き纏いだったら面倒だなぁって思って。
記憶はあるのか?凛はどこにいるんだ?ってすごい剣幕で問われたから、尚更不信感があってね。」
「それで今日凛と会う予定だから、ちゃんと凛に確認してから会わせると言われて、連絡先を交換したまではいいが、なかなか連絡が来なくてな。
やっと連絡が来たと思って来てみたら、この状況だ。」
どうだ、不憫だろう?とでも言いたげな、ミケの哀愁を帯びた瞳を見て、思わず吹き出してしまった。
「また完全に後れを取った訳だが、全員さっき再会したばかりなら、さすがにまだ誰かとどうこうなったって訳じゃないんだろう?」
「残念ながら、本当に全員殆ど同時の再会だったからね。
生まれ変わっても尚、また凛の争奪戦だ。」
わざとらしく肩を竦めて見せるエルヴィンの肩を、ハンジは乱暴に叩きながら笑っている。
「もうこれは、あなたたちの宿命としか言いようがないね。」
「問題ねぇよ。あの時とは状況が違う。
凛。もうお前を誰にも渡す気はねぇ。」
リヴァイの顔が近付き、グッと顎元を掴まれると、耳元には容易く熱が集まる。
相変わらずの強引さですら、もはや魅力でしかない。
このまま絆されてしまいたい、なんてことを思ってしまうのだって、仕方ないだろう。
「待った、待った!
また一人突っ走ったらダメでしょ!
ここは平等にいこうよ!」
完全にこの状況を面白がっているであろうハンジが口を挟むと、リヴァイは一気に眉間に皺を寄せ、渋々凛から手を離した。