第158章 番外編《それぞれの“これから”のすごしかた》
「あ!そうだ!忘れてた!!」
好古の家で飲み会が始まってしばらく、範司は大声を上げると同時に、勢いよく立ち上がった。
「忘れてたって…何を?」
「あー、これはマズイな……ちょっと待ってて。」
凛の問いに答えることもなく、範司は急ぎ足で部屋を出て行く。
「相変わらずあいつは落ち着きがねぇな。」
リヴァイはそう言いながらネクタイを少し緩め、第一ボタンを外した。
「ハンジも記憶が戻ってきたように見えるが、どうなんだろうね。」
「……多分、戻ってるんだと思います。」
エルヴィンの問いに答えたモブリットの表情は、複雑なものだった。
「モブリットは、ハンジに記憶が戻って欲しくなかったの?」
「いや…そういう訳じゃないんだけど……」
「まぁ、お前の立場からしたら、ハンジに関しては戻っていい記憶も、戻って欲しくねぇ記憶もあるだろうな。」
リヴァイの声も快活とは程遠い。
二人の間に何があったか聞いてもいいものか……
凛がそう思い始めた時、リヴァイは再び口を開いた。
「お前らも気になるだろうし、特に隠す必要もねぇ。
モブリット、言ってもいいな?」
モブリットが頷くように目を伏せたと同時に、リヴァイはグラスに注がれたウイスキーを軽く口に含み、話し始めた。