第157章 ~epilogue~
「凛。お前に愛を囁きたいのも、プロポーズしたいのも、エルヴィンだけじゃねぇ。」
リヴァイのその言葉で、必死に落ち着かせようとしていた鼓動が、また激しく打ち始めた時。
「あれ……
凛、“酔いが醒めるもの”に出会えたの?」
正面から範司の声が聞こえ、視線を前に向けた。
「だけど、私も酔いが醒める者、持って来たんだけど。」
そう言って範司が身体を横に反らした先、瞬時に目に飛び込んできた人物を見て、また一気に涙腺が崩壊した。
「はぁっ……、凛…待たせて、ごめん、」
相当走っていたのが伝わるくらい、肩で息をしている男性。
彼も忘れられる筈のない人物の一人だ。
「……モブリット、」
「やっと見つけた……
凛がおばあちゃんになる前に見つけられて、本当に良かったよ」
その言葉で、モブリットとの最後のやりとりが、鮮明に頭の中を駆け抜ける。
もう堪えきれない涙が頬を伝うと、その涙はリヴァイの指先に拭われた。
「お前、俺が来た時は泣かなかったくせに、モブリットだと泣くんだな?」
不満そうなリヴァイの声を聞いて、思わず顔が緩む。