第157章 ~epilogue~
「エルヴィン、」
「凛っ…、早まるな……!」
自分の声を遮るように再び出現した懐かしい声を聞き、反射的に濡れた頬を指で拭う。
それと同時に、息を切らした声の行方に、視線を泳がした。
「リヴァイ……?」
視界に飛び込んできたのは、スーツ姿にオールバックで髪を纏めた人物。
見慣れない格好ではあるのに、違和感はまるでない。
あの世界に居た時の、当時のままの、リヴァイだった。
「ギリギリ間に合ったようだな……
エルヴィン。お前は転生した先でも暴走したがるらしい。」
「リヴァイこそ、相変わらずタイミングが良すぎるだろう。
いや、俺にとっては悪いんだが。」
エルヴィンはそう言いつつも頬を緩ませている。
「再会したその場でプロポーズってのは、さすがに早急すぎるんじゃねぇか?
もう少し段階を踏もうっていう気はねぇのか?」
「ないな。なぜか嫌な予感があったからね。
邪魔が入りそうな、胸騒ぎのようなものがしていたから。」
「ほう。まさにその通りになったな。」
「ちょ、ちょっと待って?」
あまりにもスムーズに進む会話を聞いて、つい呆気にとられていたが、咄嗟に口を挟んだ。