第156章 I keep looking for you.
「凛?久し振りに会えたのに、全然楽しそうじゃないけど?」
「……あ、ごめん。ボーっとしてた。」
隣で歩く範司に視線を向けると、柔らかい笑顔に見つめられる。
「せっかくの休みだったのに、こんな騒がしい所に連れて来られて、ちょっと嫌になってきてる?」
「まさか!いい気分転換になってるよ。
誘ってくれてありがとう。」
仕事に追われる日々を送っていた私を心配してくれていた範司に連れられて来たのは、おじいちゃんの家からそう遠くない場所で催されていた、お祭りだった。
お祭りに来るのなんて、エルヴィンとリヴァイと花火大会に行った時振りだ。
賑やかな人だかりや、様々な出店を見ていると、あの時のことが思い出されて、自然と表情は緩む。
「凛、浴衣似合ってるよ。
ダメもとで着て欲しいって頼んでみて良かった。」
「久し振りに着たから、なんか変な感じするけど。
ちゃんと着れてる?」
「うん。すごい可愛い。」
腰を抱かれ、頬に軽いキスをされる。
範司のスキンシップがますます過剰だと感じるようになったのは、こっちの世界に戻ってきてからだった。
でも、今の範司は女な訳だし、そんなに意識することもない。
それに、範司にこうしてベタベタされるのは嫌じゃないし、むしろ嬉しいくらいに感じていた。