第155章 ただいま
「凛は大丈夫だ。
今の彼女なら、あっちの世界でも絶対に上手く生きられる。
あの世界での凛は、俺よりも逞しかったよ。」
心配を掛けない様に、そう見せていただけだろうが。
その言葉を呑み込むように、コップの水を口に含んだ。
「凛の心配は、端からあまりしてねぇよ。」
そう言ったリヴァイの表情は、とても穏やかなものだった。
「あいつは変わった。
特に出会った時と比べれば、雲泥の差だ。
あっちの世界に居た時の凛は、もういない。
しばらくは落ち込んで過ごすだろうが、それでもこれからの凛は、何処に居ても命を捨てようなんて考えは起こさねぇ。」
「それなら何が心配なんだ?」
「別に凛のことが心配だなんて言ってねぇだろ。」
ぶっきらぼうに答えるリヴァイは、眉間に皺を寄せる。
「どちらかと言うと、私たちの方が凛に心配されている立場である気はしますね……」
モブリットが困ったように笑った時、ふと凛が最後に言っていたことを思い出した。
「そう言えば、また言っていたよ。」
「何をだ?」
「“自分はこっちの世界で自由に楽しむから、皆も後ろめたさなど感じず楽しめ”と。」
そう伝えた途端、リヴァイはフッと笑い声を溢した。