第155章 ただいま
「随分早いお帰りじゃねぇか。」
「それは厭味か?
それとも本当にそう思ったのか?」
「どっちもだな。」
リヴァイはベッドの前に置かれた、さっきまでハンジが座っていた椅子に座り、モブリットはドアを閉めてから、リヴァイの少し後ろで立ち止まった。
「俺がいない間の兵団は?」
「お前がいないせいで、色々面倒事は増えたが、最近はだいぶ落ち着いたから問題ない。」
「……面倒事?」
「お前もこれから経験することだ。
せいぜい煩わしい思いをしやがれ。」
リヴァイはフーッと長い息を吐くと、椅子の背もたれに深くもたれかかった。
「団長が無事戻ってこられて良かったです。」
「ああ、暫く留守を任せて悪かったね。」
モブリットに言葉を返しながら、二人の顔を見据える。
予測していたより、リヴァイの隈は目立っていない。
モブリットに至っては、どこか体付きが変わったようにも思えた。
「二人とも、俺が居ない間は大丈夫だったのか?」
「何だ、その質問は。
お前が居なくなって、俺たちが毎日涙に暮れる日々を過ごしているとでも思ったのか?」
「まさか。凛と俺が同時に消えたことで、相当な嫉妬心と空虚感に駆られているとは思っていたが。」
「……完全に否定は出来ないですね。」
自嘲気味に笑うモブリットは、リヴァイに視線を向けた。