第154章 君と鼓動が重なる時
「何でだろうね。
神様からのサービス?」
「最後くらい許してやるか…と、リヴァイたちの呪いが解けたんじゃないのか?」
未だ自分が支持している、二人からの呪い説を唱えてみると、凛の顔は一気に綻ぶ。
「まだ呪いだと思ってたの?」
「思ってるよ。
帰った後のことを考えると、今からかなり憂鬱だしね……」
本音を漏らしながら、愉しそうに笑みを溢す凛の頬を撫でる。
最後に見られたのが、この笑顔で良かった。
彼女の喜怒哀楽は、今まで全て見たことがあるが、やはりこの笑顔が一番魅力的だ。
自然と自分の表情も緩んでいくのを感じた。
「……エルヴィン、元の世界に戻っても、ちゃんと笑ってね。」
凛の指先が、口角が上がっているであろう唇をなぞる。
指先の感触を咥えてみると、凛はまた笑みを溢した。
「リヴァイとモブリットにも言っておいて。
私はこっちで楽しく生活するから、二人もちゃんとプライベートも楽しんで、って。」
「……その“楽しむ”は、どの意味を指すんだ?」
「全部。何に対してでもいいよ。
私も自由に楽しむから、みんなも私に対して後ろめたい気持ちなんて覚えなくていいから。」
「凛は本当に、この世界で自由に楽しめるのか?」
「そりゃ…楽しめるよ。」
「君は相変わらず、嘘を吐くのが下手だね。」
思わず吹き出してしまうと、凛は大きくため息を吐いた。