第154章 君と鼓動が重なる時
エルヴィンは凛の唇を丁寧に愛撫しながら、自分の入り乱れた感情を整理しようと、懸命に考えを巡らせていた。
今まで避妊具なしで行為をして、女性の中に自分の欲の塊を出しきったことはない。
いくら安全日だ、なんて言われても、それを信用して中に出そうとも思わなかったし、正直責任を取れない身で、そんなことをする気が起きたこともない。
……それなのに、今回こそ、一番してはいけなかったタイミングで、凛の中に自分の種を注ぎ込んだ。
反省以前に後悔し、自分を強く責めるような案件だ。
だが、
凛の胎内に子が宿っていれば、転生していたこの世界の自分が凛を見つけて、記憶を取り戻し、一緒に子を育てていけるんじゃないのか。
なんて、自分が絶対考えそうにもない、願望に満ち溢れた夢物語を、つい描いてしまっていた。
浅はかで、向う見ず過ぎる考えに、自分で自分に呆れてしまう。
「……エルヴィン?」
「ん?」
心配そうな表情が瞳を覆い、反射的に笑顔を向ける。
きっとこの顔も、凛には作り笑顔だとバレてしまうんだろうが、凛は何も言わないままで、隣に寝転がった。
「今までずっと出来なかったのに、何の問題もなく最後までできたね。」
「……確かにそうだな。」
中に出してしまったことについて考えすぎていて、そのことについて違和感を覚える暇すらなかったことに気付く。
思わず深く頷いてしまいながら、凛の方へ顔を向けた。