第150章 気遣いの出所
「……エルヴィン?」
「そろそろ凛のおねだりを受け入れられるくらい、身体が戻ってきたよ。」
「え、」
自分の呆気にとられた声と同時に、エルヴィンの身体が私の身体に覆い被さる。
片腕で簡単に両手を固定され、そのまま鎖骨にエルヴィンの唇が這い始めた。
「ちょ…、まって!違う!」
「明日は天気が良いようだから安心してくれ。」
何の話?と、すぐに問いたいけど、容易く湧き出してきた欲のせいで、呼吸を整えなければ、喘ぎ声になってしまいそうだ。
一度大きく深呼吸をし、エルヴィンの肩を押して、距離を取る。
「それ…、どういう意味……?」
「凛がたくさん濡らしても、きっとシーツも布団も明日の夜までには乾くだろう。
……思う存分、俺からの“恩返し”を楽しんでくれ。」
「ま、待った!恩返しは、」
反論しようと開いた唇は、顔に触れた時に感じた冷たさとは対照的な、熱っぽい唇に捕まえられ、あっという間にその熱に絆される。
こうなってしまうと、もうエルヴィンに従う他ない……
こうしてすぐ諦めてしまうようになったのも、この先に、想像を絶するくらいの激しい快感があると確信しているからだ。
それでも、もしエルヴィンの隙を見つけることが出来れば、それを逃さず自分のものにしよう。
そう心に誓うが、結局日付を跨いでも喘がされ続けることになったのは、言うまでもない。