第150章 気遣いの出所
「エルヴィン、大丈夫?」
エルヴィンは凛の敷いた布団に寝転び、片腕で顔を覆った状態で、僅かな隙間から凛の表情を盗み見た。
「そう聞く割に、随分嬉しそうな顔をしているな。」
「え、そうだった?」
わざとらしく頬に手を当ててニヤつく凛を見て、ため息と共に笑い声も零れる。
「まさかエルヴィンがフェラだけで落ちかけると思ってなかったから、つい調子に乗っちゃった。」
発言内容は恥ずかしいくらいに頂けないが、悪戯を覚えたての子どものように、ぺロっと舌を出して見せる凛をどうしても可愛いと思ってしまう。
「だが、風呂で俺の意識を失わせたら、後が大変になるのは君だからね。」
「……確かに。」
その場を想像したのか、凛は一気に真面目な顔になった。
「かなり気持ち良かったのは事実だが、俺を苛めるのも大概にしてくれ。」
「そうだね。
お風呂ではあまり攻め過ぎないように気を付ける。」
真摯な表情のままの凛の身体が近付き、まだ火照っている首筋に唇の感触が落ちて来た。
「……凛?」
「ん?」
「いや……この状態はおかしいだろう。」
「お風呂では気を付けるけど、もう布団の上だから。」
「まっ…待て。そういう問題じゃない。
さっきこれ以上ない程イったばかりだから、もう絶対に無理だ。」
つい“絶対”の部分を強調してしまう。
それくらい、今攻められるのはまずい。
「今までの仕返しとしては足りないくらいだよ?
もっとしよ?」
このタイミングで、そんな可愛い顔を見せて来るのか……
上目遣いで小首を傾げられ、その上“もっとしよ?”なんて言われて、色々と反応しない筈がない。
もう絶対に何も出る気配がない、と思っていた下半身だったのに、一気に射精感を覚える。
本当に落とされる覚悟をするべきか……
そんなことを思ってしまった時、
凛の携帯の着信音が鳴り響いた。