第149章 ●見透かされた我儘
「それくらい、凛といた証が欲しいんだよ。
出来るだけ長く痕が残るように、もっと濃い印をつけてくれ。」
エルヴィンの穏やかな表情を見つめながら、再び胸元に唇を這わす。
さっき付けたマークの隣に吸い付くと、作ったような不満そうな顔をされ、軽く首を横に振って、不服さをアピールされた。
「……これ以上すると、絶対痛いよ?」
「その方がいい。」
エルヴィンの腰に手を回し、貪るようにして唾液で湿らせた胸元に吸い付く。
今度は満足しているのか、優しく髪を撫でられ始め、上目遣いでエルヴィンの様子を窺う。
エルヴィンの視線がいやらしいくらいにセクシーで、それだけで身体が疼いて来てしまう。
本当にこの人のフェロモンは際限がない。
今日だけでも、何度この視線に心臓を射られている事か……
エルヴィンの側に居たいという理由で調査兵団に入ってきた兵士がいることは頻繁に聞いたことがあるし、実際にそんな理由で入団してきた兵士と会話をし、如何にエルヴィン団長が素晴らしいかを熱弁されたこともある。
そんな彼女たちは、人類に心臓を捧げる、というより、エルヴィン自身に心臓を捧げているのだろう。
それで本当に良いのかと問いたい気持ちも込み上げていたが、確かにエルヴィンのこの瞳に見つめられたら、心臓を捧げてもいいと思ってしまう気持ちも、完全に理解できない訳ではない。
視線を落としてキスマークの状態を確認すると、酷い内出血が目に入る。
……やっぱりかなり痛そうだ。
最後はこれみよがしに強く齧り付き、歯型を残す。
案の定、その行為に満足したようで、嬉しそうに笑みを溢すエルヴィンの唇が目前に迫り、すぐにその唇を唇で捉まえた。