第149章 ●見透かされた我儘
厚い筋肉に覆われたエルヴィンの胸は、こうして触れているだけで興奮を煽ってくる。
強く吸い付きたい衝動に駆られるが、一旦唇を離して深呼吸をする。
冷静に考えると、団長が他人から見える位置にキスマークを付けているのはマズイだろう。
腹筋に近い胸の下部分に唇を移動させ、何度も軽く吸い付くようなキスを落とした。
「……キスマークを付けられるのは、こんな気分なのか。」
「え、付けられたこともなかったの?」
「ああ。付けて欲しくなかったからね。
服を脱ぐ度に、誰かに所有されているような気分にさせられるのは好ましくない。」
あまりにも辛辣で単刀直入な言い方に吹き出してしまう。
だけどそのセリフはエルヴィンらしいとも思えるし、確かにエルヴィンなら、自然にその行為を上手くかわせそうな気もした。
「それでも凛は別だよ。
君の付けた痕なら、一生でも連れ添いたい。
むしろ、一生残ってくれた方が嬉しいくらいだから、もっと強く吸って欲しいんだが。」
「……またそういうこと言って……」
簡単に全身が発熱する。
エルヴィンの刺激的な言葉は、何度言われても身体が火照ってしまう。
「だが、やはりキスマークにも限度があるからな……
いっそのこと齧り取って、傷跡を残してもらえる方がいいのかも知れないな。」
「いきなり猟奇的なこと言い出すね……」
思わず小さく笑みが零れる。
それでも、真面目な表情のままで思いついたように言い放たれた、エルヴィンのその言葉は、一層自分の身体を熱くさせた。