第148章 反省も譲れない想いも
エルヴィンは大笑いに近い笑い方で、声を上げて笑っている凛を見つめる。
しばらくこの顔を見ていなかった気がする。
冗談と言う訳でもなく、かなり真剣な意見を述べた筈だが、凛がこうして笑っているのを見られるのは素直に嬉しい。
「凛、笑いすぎだろう。
そんなにおかしなことを言ったつもりはないんだが。」
「嘘だ。絶対笑わせるつもりで言ったでしょ?」
笑い声に掻き消されそうな声を聞きながら、こっちまで顔が綻ぶ。
彼女の笑顔は本当に魅力的だ。
いつまでも見ていられるし、どれだけでも見続けていたい。
「今頃リヴァイとモブリットは、俺を相当恨んでいる筈だからな……
呪われても仕方がないかとは思う。」
凛の曇りのない笑顔を見ながら、少し二人のことを考えてみる。
もし俺がリヴァイたちの立場だったら、一人だけ凛の世界にタイムスリップしたことを、かなり根に持ったことだろう。
どうしてそうなったのかは分からないにしても、その憤りを周囲に隠し切れる気はしない。
それにしても凛は、リヴァイやモブリットとは20分過ごしていても鼓動が重ならなかったのに、自分と過ごした時はものの数分で鼓動が重なったのはどういうことなんだろうか。
範司の言っていた通り、一定の時間鼓動を重ね続けるのは、なかなか難しい気がする。
自分は凛と鼓動の相性が良すぎるから、こんな簡単にタイムスリップしてしまったのだろうか。
それとも凛と「想いが通じ合っている」相手は、俺だけなのでは……
そんな自分にとって都合のいい解釈が頭を過り、思わずフッと息が漏れた。