第147章 二人が近付くように、終わることのないキスを
「え、エルヴィン?!大丈夫?!」
思わず上擦った声を発しながら、エルヴィンの顔を覗き込む。
エルヴィンの瞼は再び閉じられていて、少し荒い呼気が、何度も自分の肩を往復していた。
「君のことが欲しくて、堪らないのに…、ダメだ……」
すっかり細くなってしまった声が、空気と同化するように辺りを揺らした後、逞しい身体はベッドへ倒れ込んだ。
もしかして……と思い、そっとエルヴィンの顔を覗き込む。
エルヴィンは既に深い眠りの中にいるようで、掠れた小さい寝息を立てて眠っていた。
エルヴィンが眠ってしまったことが分かると、あれだけ燃え上がっていた情欲は、一気に小さな燈火となる。
まさかのタイミングで眠られてしまい、呆気に取られるが、それ以上に、重苦しい思いが心の中を支配する。
「……これはいよいよ、タイムリミットが近いってことか……」
エルヴィンの肩までしっかり布団をかけ、唇に押し当てるだけのキスを落とした。