第147章 二人が近付くように、終わることのないキスを
「……いやらしい顔だな。
羨ましいのか?」
「ち、ちがう!…し、これ見てて何とも思わないエルヴィンの方がおかしいからね!」
「仕方ないだろう。
俺はこれよりもっといやらしい表情を知っているからね。」
掴まれたままの顎元は、エルヴィンの方へ引き寄せられ、唇が唇と触れ合う寸前で止められた。
「ほら、凛もあの彼女のように、モノ欲しそうな顔で俺を誘ってくれ。」
「……私を常に欲求不満扱いして……」
エルヴィンの艶っぽい視線が間近に迫ったままで、ふて腐れた表情を作って見せる。
この瞳に抗い続けることは、きっと出来ないだろう。
それでも少しくらい反抗したい気がして、視線を逸らした。
「そんな風に思っている訳ではないが、俺がここに居る間は、その方が都合は良いけどね。」
どんどん接近してくる、潤った厚い唇が、唇を掠める。
エルヴィンの碧い瞳に吸い込まれていくように、自然に唇を寄せた。
もう殆ど触れているも同然なほど接近しているが、エルヴィンから、近付いてくることはない。
唇に軽く息を吹きかけてみると、目元の筋肉が緩んだようで、目尻に優しい皺が寄った。