第147章 二人が近付くように、終わることのないキスを
目が覚めた時、エルヴィンの温もりがなくなっていることに気付き、勢いよくベッドから抜け出す。
「エルヴィン?!」
どうしようもない不安に駆られ、起き抜けの掠れた声でエルヴィンを呼ぶと、すぐに風呂場へ繋がる扉が開いた。
「凛?どうした?」
顔を覗かせたエルヴィンは、今まさにシャワーの真っ最中だったようだ。
艶やかな金髪は後ろに撫でつけられているが、静かに雫が滴り、分厚く逞しい胸板は、少し赤みを帯びている。
完全に寝惚け眼の状態だったが、色気を発散し続けるその姿を見て、一気に目が冴えた。
「ご、ごめんっ……、起きてエルヴィン居なかったから、
なんか怖くなって…いや、寝惚けてたし、」
……もう言い訳のような言い回ししか出来そうにない。
この部屋でエルヴィンが急にいなくなることなんて、普通に考えて有り得ないのに。
寝惚けていたとはいえ、エルヴィンに依存しすぎだ。
「すまない。
気持ち良さそうに眠っていたから起こすのも悪いと思ったんだ。」
腰にタオルを巻いたエルヴィンが私に近付く。
エルヴィンの身体から落ちた雫が、じんわりとカーペットの色を変え、エルヴィンを直視できないで突っ立ったまま、雫で出来たシミを見つめた。