第146章 もっと素直に言えたなら
優しい交わりを終えた後、エルヴィンには先に風呂から出てもらい、1人で湯船に浸かっていた。
今日は完全に泣きすぎだ……
こんな顔で一晩エルヴィンと過ごす訳にはいかない。
ただでさえ酷く心配されているのに、このままだと、ますます憂慮の気持ちを膨れ上がらせてしまいそうだ。
腫れてしまった目を、水で濡らしたタオルで冷やす。
『冷やした方がいいよ。
早いうちから対処してたら、意外と次の日は大丈夫だから。』
不意にモブリットの言葉を思い出して、また涙腺に緩みが生じる。
泣いた時、何も言わずにただ抱きしめてくれていたリヴァイの顔が頭を過り、堪えきれずに、また涙腺は崩壊する。
もうどう足掻いても、涙を我慢することは出来ないらしい。
さっきエルヴィンに掛けられた言葉が、何度も脳内でリピートされる。
エルヴィンにとって最善の決断とは言い難いと分かっているのに……
自分には勿体ない言葉だと思いつつも、とても嬉しく感じてしまっていた。
その時、部屋の方からガタン!と大きな物音がし、いつの間にか丸まっていた身体が反射的に伸びる。
エルヴィンに何かあったのだろうか。
胸騒ぎを覚えながら、急いで風呂から出ると、近くのバスローブを素早く羽織って、部屋へ戻った。