第145章 ●この感情はここだけで
「そもそも、凛に出会わなければ、俺が今君に抱いているような感情が芽生えることは、一生なかったと言い切ってもいい。
だから、俺に恋人ができないとして、君が気に病む必要は全くない。」
エルヴィンはそう言い切った後、凛を抱く力を少し緩めた。
感情的に話してしまったことは、顔を見られていなくてもきっと凛にはバレている。
凛の中で、俺を心配する気持ちも芽生えている筈だ。
その上、こんなことを赤裸々に話したせいで、困惑していること然りだろう。
三人の男の狭間で揺らいでいる心がある今なら、尚更だ。
だが、実際に言い切ってしまえば、想像以上の爽快感で自分の胸は軽くなった。
「凛の話を聞く予定だったのに、私が話しをしてしまったね。
これからは君の話を大人しく聞く役に徹するよ。」
身体を離して凛の顔を見つめると、案の定、といってもいいような美しい雫が、凛の頬を濡らしていた。
「……すまない。
こうなることを予測していなかった訳ではないが……
泣かせたくて話した訳でもないんだ。」
「……分かってる、」
端的に言葉を溢した凛の頬に、指を滑らす。
悲しい色を纏っている涙さえ愛おしく思え、抑えることのできない感情が凛の唇にキスをする。
受け入れられた唇は啄まれ、凛の頼りない腕が腰に回される。
少しずつ腰を捩じらせ始めた凛の意志を汲み、挿入したままの熱い塊をゆっくり動かし始めた。