第144章 吐き出され続ける情欲
「はぁっ…、全く…君は……」
「……また意識、飛びかけた?」
伏せられたエルヴィンの顔を覗き込む。
今回もエルヴィンの方が息は上がっている。
この珍し過ぎる現象が、興奮する要素にならない訳がない。
紅潮しかかった頬に手を当てると、不意に視線は絡んだ。
「……そんな嬉しそうな顔をして。
俺を落としてみたいのか?」
「うーん……そうだね。
一回快感で落ちる経験をしてみて欲しいとは思ってるかも。」
「ははは、正直だな。」
エルヴィンの目元が一気に細くなる。
この本当に楽しそうな笑い方を見るもの好きだ。
こんなに逞しく、如何にも戦ってきた男の筋肉を全身に纏っていても、この笑顔は絶対可愛いと思ってしまう。
「意外とスッキリするからね。
一度そうなると、ちょっとクセになるよ。」
「ほう。
それは俺に“落として欲しい”と言っているのか?」
壁に追いやられたままで唇がグッと近付く。
適度な厚みと潤いを持った唇を間近で垣間見て、心音はまた簡単に高鳴り始めた。
「……落として欲しい、とまでは言わないけど……
まだエルヴィンは欲しいかも。」
「本当に……君の素直さは、いつも可愛くて仕方ない。」
身体が密着し、力強く抱きしめられてから暫くして、またすぐに快感の虜になった。