第142章 久しぶりのデート
前回エルヴィンがタイムスリップして来た時は、エルヴィンにまるで似合わない自分が横を歩く時は、目に余るほどの罪悪感のようなものが込み上げていたが、今はそんな感情は生まれない。
どちらかと言うと、こんな素敵な男性と肩を並べて歩けているという、誇らしげな気持ちの方が大きくなっていた。
この感情の変化は、エルヴィンの世界に行っていたからだろうか。
自分は何か悪いことをしている訳じゃないんだし、堂々としていればいいか、という開き直りにも近い気持ちが芽生えていた。
電車はゆっくり動きだし、窓の景色は徐々に移り始める。
エルヴィンの身体がまたグッと近付き、咄嗟にエルヴィンの胸元を掴んだ。
「……すまない、狭くないか?」
「ん、大丈夫。」
エルヴィンの背中越しに、楽しそうにはしゃいでいる学生たちが目に留まる。
「エルヴィンこそ大丈夫?
さっきからかなりぶつかられてる気がするんだけど。」
「ああ。
相当浮き足立っているんだろうね。
楽しそうで何よりだよ。」
こんな時まで寛大な反応を見せてくるエルヴィンには驚かされる。
これだけ体当たりされていたら、少しくらいイラっとしてもおかしくないのに、エルヴィンは穏やかな表情のまま、学生たちに視線を向けていた。