第140章 言いたい言葉は、言えない言葉
「っ……、はぁっ…、は…、」
「エルヴィン、大丈夫……?」
珍しく自分より呼吸が乱れているエルヴィンの頬に、手を当てる。
張りのある肌は紅潮し、碧い瞳は瞼に覆われ、荒々しい呼吸音だけが耳に届いた。
「……はぁ…、いや…、ダメだな……」
「そうなんだろうね……」
この世界に来たことで、エルヴィンの身体には急激な変化が表れているんだろう。
タイムスリップした直後だから、ますますそうなのかも知れない。
落ち着きを取り戻した陰茎を自分の中から抜き出し、小さく息を漏らしたエルヴィンの隣に、身体を横たえた。
エルヴィンの方へ向くと、エルヴィンも身体を私の方へ向ける。
背中をそっと摩っている内に、エルヴィンの呼吸は段々落ち着きを取り戻していた。
「意識が飛びそうになった……」
碧い瞳を露わにした途端、困惑した表情が視界を覆う。
「エルヴィンでもそんなことになるんだね。」
「ああ……初めてだったから焦ったよ……
凛はいつも、よくこんな感覚に耐えられていたな……」
「気持ち良くなかった?」
「気持ち良かったに決まってるだろう。」
そんな語調を強められても……
と、エルヴィンの真剣な表情を見ながら、思わず吹き出してしまう。