第137章 大切な時間
「あー、ダメだ……」
凛の頭が、ため息と一緒に肩に傾れ込んでくる。
思わず髪を撫でてみると、細い腕が腰に回された。
「モブリットが、可愛い女の子にキスマーク付けてるの想像して、すっごい悶々としてる。」
「また余計な想像を……」
肩にぐりぐりと顔を押し付けてくる様子が可愛らしくて、情動の赴くままに、凛の身体を持ち上げて膝の上に乗せ、そのまま強く抱きしめた。
「……でもね。
私がこの世界からいなくなったら、本当にそうしてくれていいから。」
首に腕が回され、落ち着いた声が耳元で響く。
「モブリットのことだから、私がいなくなった後も結構引き摺るだろうけど、落ち着いたら、また恋愛して欲しい。」
「……言ってること違うよ?」
「そんなこともないよ。
……さすがに、束縛も嫉妬も、この世界にいる時だけにするから。
自分がいなくなってからも、束縛なんてしたくない。
モブリットには幸せになって欲しい。」