第137章 大切な時間
モブリットは明らかに目を丸くしている凛から目を反らす。
きっとこれは、困惑している時の顔だろう。
「ごめん、大丈夫。言ってみただけだから。」
すかさず前言を撤回し、凛に笑顔を向けた。
これこそ女々しい頼みだった……
この期に及んで、凛を困らせたくない。
……が、なかなか動きのない凛が心配になり、そっと顔を覗き込んだ。
「凛?」
「あ。ごめん、ちょっと考えてた。」
「……何を?」
「エルヴィンとリヴァイに見つかりそうにない部位ってどこだろうなぁって。」
「は、」
またもや凛の予想外の返事に気の抜けた声が零れ落ちる。
……どうしてこうも、凛は俺の感情を汲み取ったり掻き乱したりするのが上手いんだろう。
「……凛、大好きだよ。」
堪えきれず溢した言葉が、凛の頬を簡単に染め上げる。
そうやって反応してくれるから、こっちも簡単に期待してしまうんだ。
「……質問の答えじゃないね。」
「うん。でも言いたくなったんだ。」
衝動的に凛の頬に手を添える。
見た目通りの火照りを帯びた肌が心地よく、自然と指先が移動する。
小さく息を漏らした凛の表情を見ていると、愛おしさばかりが込み上げて来て、一瞬息を呑む。
「……見つかりそうにない場所、ちょっと心当たりあるよ。」
そのまま胸元まで滑らせた指で、シャツのボタンを抓んだ。