第137章 大切な時間
凛は瞬時に頬を赤らめた後、ゆっくり表情を緩ませる。
衝動的に凛の頬に手を当てると、視線はすぐに絡み合った。
かなり強引な感情をぶつけてしまって、きっと凛は驚いただろう。
でも、この状況になって嘘を付ける程、自分は器用ではない。
「悪あがきだとしても、未練がましくても、潔く凛を手放すことなんて出来ない。
……それくらい、凛が必要なんだ。」
何とも勝手すぎる言い分だ。
自分で言っておきながら、ため息が漏れそうになる。
自分はいつからこんなにも欲望に忠実に生きるようになったんだろう。
……ああ、そうか。凛と出会ってからか。
思い起こそうとしてすぐ、思い当たる節を見つけ、表情が緩んでしまうより先に、凛の額に額を重ねた。
「モブリット、間接キスになるけど、もう我慢の限界だからいいかな?」
「え、」
間接キスって?と尋ねるより前に、唇は軽く重なり、すぐに啄まれる。
込み上げてくる情動はそのままに、行為を重ねる様に凛の唇を唇で覆った。