第137章 大切な時間
「お蔭でハンジさんは、既に凛の目を覚まさせる薬作りに没頭してるよ。」
「……それ、本当に大丈夫な薬?」
「さあ?
性欲増強剤も入れてるかもね。」
「え、それはどうなの!?」
「性欲が増したことで起きていられるようになるなら、俺はそれでもいいと思うけど。」
声を上げて疑問をぶつけた筈なのに、モブリットはまるで普通だ。
「それ、良くないでしょ……」
「凛の性欲解消要員になるとしても、こっちとしては全然問題ないし、むしろそれは嬉しいくらいだからね。」
全く表情を変えず、にこやかに発言するモブリットを見ながら、案の定、顔に熱が上がってくる。
モブリットはいつからこんなことまでサラッと言ってしまえるようになったんだ……
「……モブリット。
さっきからどこからが本気でどこまでが冗談か分からなさ過ぎて、反応に困るんだけど……」
「全部本気だよ。
凛がこの世界にいられるなら、俺は何だってする。」
モブリットの力強い声色が、真剣な表情が、自分の拍動を大きくさせる。
モブリットが、私にこんな顔を見せてくれるようになったのは、いつからだろう。
ハンジが言っていたように、私がモブリットを変えた、なんて言い方は、さすがにおこがましいと思う。
でも、出会った時は想像もできなかったくらいの男らしい表情は、魅力的でしかなく、自分がこんな状態になった今でも、強く独占していたい気持ちが込み上げ続けていた。