第136章 調査中は思慮の時間
凛は調査に向かう兵団を見送り、その足で駐屯兵団へ向かう。
……予定だったが、調査兵団の見送りに来ていたイアンに声を掛けられ、誘われるままにイアンと同じ馬に跨っていた。
馬はゆっくりと歩き出す。
「無事会えて良かった。
司令とアンカからキツく言われていたんだ。」
イアンの安堵のため息が肩を掠める。
少し後ろを振り向くと、優しい表情が瞳に飛び込んた。
「何を言われてたの?」
「凛を必ず見つけて、駐屯兵団まで一緒に連れて帰って来いって。
凛を見つけるまで帰って来るなくらいの勢いで言われた。」
「……私、相当心配されてるね……」
「まぁ、この間のことがあったばかりだし、その方がいいだろう。」
「イアンも知ってるの?」
「ああ。まだ“あの事件”は立件されたばかりだけど、俺も少し調査に関わったから。」
「そっか……」
何と言葉を返していいか分からず、それだけ言って口籠ってしまう。
「怖い思いをしたな……」
「ううん。油断してた私もダメだった。
普段からもっと気を引き締めて」
「凛。」
発言を遮られると同時に、頭を温かい感触が包み込んだ。