第134章 何度でも
「……ミケにも筒抜けだね。」
エルヴィンは部屋に残った凛に呟くようにそう言われ、思わず小さく笑い声を漏らす。
「だが、その情報の発信源は俺だからな。
今日は君と過ごせると思っていたから、日中少々浮かれていたんだ。」
「浮かれていた、って、訓練や書類が捗った、って思ってもいいのかな?」
「勿論。
まぁ、それは君がこの世界に来てからずっとだが。」
凛の座るソファーの背もたれに手を置き、後ろから凛の顔を覗き込む。
呆れたようにも恥ずかしそうにも見える表情が何とも言えない愛らしさで、衝動的に後ろから抱きしめた。
「……エルヴィン、疲れてない?」
「全く疲れていない、と言ったら嘘になるが……
凛。君は?
最近ハンジの書類をかなり手伝っていたようだが、疲れは出ていないのか?」
「私も疲れてない訳じゃないけど、私は明日から長期休暇みたいなものだしね。
あんまり疲れを気にして仕事はしてなかったかも。」
その言葉を聞き、ふと凛に伝えていなかった肝心の話を思い出した。