第131章 心の帯を緩めて
「凛、泣いていたのか?」
「……あ、これ、違うの。」
ハッとさっきのハンジとのやり取りを思い出し、図らずも頬が緩む。
「ハンジに嬉しい言葉掛けてもらって。
つい泣いちゃった。
最近本当に涙腺緩くてびっくりするよ。」
「……そうか。それならいいんだ。」
そっと肩を抱かれて、思わず身体をモブリットに預ける。
さっきまで訓練をしていたからだろう。
モブリットはいつも抱きしめられた時とは違い、外の匂いがする。
それでもその匂いすらも心地良く感じて、意図的に息を吸い込んだ。
「上官の部屋でこんなことしてたらダメだな。」
「本当だ。ここ、ハンジの部屋だったね。」
「忘れてた?」
「うーん、どちらかと言うと、忘れたくなった、だね。」
悪戯っぽく笑うモブリットに、そう言って笑顔を返す。
「……俺も凛がこんなに近くに居ると、忘れたくなる。」
近付いた優しい表情を見つめてすぐ、唇を唇で受け入れると、胸の奥から興奮を誘う感情が湧き上がる。