第131章 心の帯を緩めて
次の日の昼過ぎ。
凛は昼食を終え、自室で出来上がった書類たちを片付けていた。
調査を明後日に控え、自分のしていた仕事は一旦落ち着いたように思える。
朝早くに訓練に行ったリヴァイに感化され、同じく朝訓練をしていたモブリットから追加の仕事を受け取り、早朝から書類を片付けていたのが良かったのだろう。
それでも多分“あの人”の書類は山積みだろう……
部屋を出ると、足早に彼女の部屋へ向かった。
「凛~!!!助かった!!!!!」
「そうだと思った。」
部屋に入った途端、縋り付いてきたハンジを受け止めながら、机の上に視線を送る。
案の定、言葉の通りの“山積み”だ。
「これ、明後日までに済むと思ってる?」
「思わない。
けど、きっと凛が助けてくれると思ってたから。」
「なるほど。
それを見越してここまで溜めたな?」
ハンジはペロッと舌を出し、おどけた様子で「ご名答!」と笑っていた。
書類に軽く目を通し、仕分けをしながら、午後の訓練に行く準備をするハンジに視線を向ける。
「こんなに書類溜めて……
もし私がこの世界にいられなくなったら、どうするの?」
「ええ?
凛がいなくなることなんて考えてないよ。」
「いや、ちょっとは考えとこうよ。」
そう言いながらもハンジの返答が嬉しくて、思わず顔は綻んだ。